ひとつ屋根の下の愛情論
第10章 裏表の夏
「で――――お願いって…なに?」
ここに来たら話すと言っていた彼女に問う。
どんなお願いでも…【逃げられない】
俺はドキドキしていた――――…どんな内容で…どんな無茶ぶりか…
「///わ…私ね…好きな人がいるの――――…」
告白?まさか――――こんな場所で?
しかし、俺の脈拍は――――正常値で…上にも下にも変動しなかった。
「そうなんだ――――で、ここに来る意味は?」
「///そ、その人に――――告白しようと思ってんだけど…
その人がね…“処女はめんど臭いから相手にしたくない”って言ってるって噂で聞いて――――…」
「――――は?…あ~…は?」
ちょっと…意味が…?
「///だ、だから――――…し、信用出来て…初めての私を快く受け入れてくれる…///人を…探していて……」
――――なるほど…
好きな人に気に入られるために…煩わしい処女を…手っ取り早く、かつあと腐れなく捨てる相手を探していたわけだ。
遊び人でもなく…超真面目でもなく、横沢さんに少しでも好意のある――――男って訳か…
まさしく…事件前の…俺じゃん――――…
しかし、たかが“噂話し”のレベルで…処女を捨てられるって…
女は――――怖い…