ひとつ屋根の下の愛情論
第11章 弟の成長と嫉妬
「福田先生――――この後、講師の皆さんと飲みに行きますが…ご一緒にいかがですか?」
相変わらずグイグイ来る金江に少しうんざりしながらも――――…
「すみません、今日は弟の勉強を見る約束をしてました。頑張れば手の届く大学を希望してるので――――…力になってやりたいので」
約束なんか――――…していないが…
塾を出た二人の後ろ姿が…何故か俺を不安にさせるのだ。
だがら――――…家にアイツがいなかったら……
今日は自分のアパートに帰ろう。
そう、思っていた。
俺より遅く帰ってきた…秋音を責めて――――…何をしてしまうか…分からない。
自分が――――怖い。
「///そ…そうですが――――…残念です」
「また、誘ってください――――…では、また」
俺は、引き留めようとした金江を無視して職場を後にする。
日が傾き――――…二人の背中を見下ろした時から…
だいぶ時間はたっているが……
思い合ってる二人には、足りないくらいの時間だ。
しかも、夏の夕暮れは――――…遅く…長い。
愛しあい――――離れがたくなるほど…夜空の星は魅力的になり眺めたくなる……
「女は――――…ズルいからな…」
俺は、夜に向かう空を見上げた――――…