ひとつ屋根の下の愛情論
第12章 沈殿する記憶と思い
タクシーが来ると…俺と律夏はレストランを出た――――…
「お大事に――――」
と、俺たちを見送る金江の顔が…少し複雑そうだった。
タクシーに乗り込むまで俺は何度も…何度も金江と木戸に頭を下げた。
「いいって――――そんな気にすんな!」
木戸は顔色の悪い俺を気遣ったが…金江は律夏の事ばかり気にしていたから…歓迎はされていないだろう。
「ごめん――――…律夏…金江先生には悪いことしちゃったな…気合いいれていい店取ってくれたのに…」
「お前が気にすることじゃない…しかも、酒が飲めない高校生が楽しく食事をするって――――場所じゃねぇ~よ…ど~考えても、選択ミスだろ?それに――――全額俺が払ってきたんだ…文句はねぇだろ?」
「///え――――いつの間に?」
タクシーの後部座背で俺を支えながら、ふてぶてしく笑う律夏はなんだか楽しそうだ…
「――――社会人は色々とスマートなんだよ」
そう言うと、スマホを取り出しキャッシュレス決済のアイコンを俺に見せた。
「――――カッコいいっすね…」
「まぁ~なぁ…それより、大丈夫か?全部…吐いただろ?」