ひとつ屋根の下の愛情論
第16章 残酷な残り香
――――律夏が帰ってこなくなり…
だいぶたった。
街はクリスマスのイルミネーションがうるさく光り…
“恋人達の季節”と…猫も杓子も恋人を欲していた。
もちろん、文化祭で他校の女子に告白し見事にふられた吉川にとってクリスマスのイベントは、再びチャンス到来だと大騒ぎしていた。
「お前も――――なんで横沢の告白を断ったりしたんだよ~!好きだったんだろ?」
帰り際、吉川が俺の文化祭での行動に何故かイライラしていた。
「昔――――好きだっただけで…今は違うから…付き合えないって」
俺は夏から伸ばし始めた髪をパーカーのフードの中にしまい首もとを暖めた。
「///はあ?それでも付き合うのが男だろ!」
「吉川…それは、ゲス発言だぞ?好感度下げるからやめとけ」
「うっせぇ!好感度がなんだよ!ばか野郎!」