ひとつ屋根の下の愛情論
第16章 残酷な残り香
「だって――――…その、好きな人とは絶対結ばれないのにって、…横沢さん泣いてたらしいじゃん?」
「誰情報だよ――――…つ~か、人のマル秘恋愛話を流出しすぎじゃねぇ?」
俺はかじかむ手をポケットにしまうと大きくため息をついた。
「誰って――――横沢さんの友達情報だよ…後夜祭で泣いてたって…///俺も泣いてたけどな」
吉川が泣いていようがどうでもいいが…
横沢さんは…そこで泣きながら女友達にフラレた経緯を暴露するって…神経が怖い。
泣くくらい…好きじゃなかっただろ?
処女を捧げた男――――って、他の男子より頭ひとつ出てただけ。
俺はそう思った。