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ひとつ屋根の下の愛情論

第16章 残酷な残り香


「まぁ、クリスマスまでには彼女をゲットして!このイルミネーションの下を歩くのが…俺の近い願いかな…」


「俺たちの近い願いは――――大学合格だろ?お前は…専門学校だっけ?それの合否だ!」


「アホか!専門学校は滅多なことでは…落ちないと聞いたぞ!俺は!」


吉川の油断しきった顔に――――…更にため息が出る。


「バカか…専門学校でも――――大バカはとらないよ…」


「――――バカとハサミは使いよう…って事で…ギリギリ合格だな!」



「どこから来てるんだよ…その自信」


俺たちは笑いながら駅前で別れた。



――――そう、あの日…


文化祭で横沢さんとキスをしてから…告白されたが…


俺は断った。



「なんで――――…私なら…福田君を…幸せに出来る!福田くんの…好きな人は、そばにいられない人なんでしょ?」


と、食らいついてきたが――――…



「別に幸せなんて要らないんだよ………つ~か…幸せになりたいって…思ったことないからなぁ…むしろ――――逆?」


「は?ごめん…意味が分かんない…」


横沢さんは俺の言葉に少し考え込む。


「///ふ、不幸でも――――いいの?報われなくて…いいの?辛いだけなのに…いいの?意味が分かんない…」



分からなくていいと思う――――…


こんな感情は…普通の人なら思わないんだから。



「幸せも――――辛さも…あの人から与えられないと…意味がないってことだよ」





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