ひとつ屋根の下の愛情論
第3章 弟の悪夢
なんか――――修学旅行中…家を見てくれ~って言ってたなぁ…
「――――誰もいない他人の家を見てくれって…誰に頼んでんだよ…アイツ」
この間、「様子を見てきて!」と、母さんから言われて渋々行った時に…そう言われたが…多分、アイツなりのジョークか何かだと思って流した。
だが、今日は暇だし――――…あそこの近くのパン屋が意外に旨いし…買い物がてら様子を見てくるか…
気まぐれが働いた。
塾講師なんて自由そうで意外に忙しい――――…大学の時にバイトで始めた講師だが、意外に性に合っていたのもあって…受講生が増えた、それもあってか…なかなかの待遇で就職させてもらった。
母子家庭の苦しさは痛感している…金が良ければどこだって良かった。