ひとつ屋根の下の愛情論
第3章 弟の悪夢
「お兄さん――――ですか?」
秋音の検査結果を医者から聞かされるために呼ばれる。
“お兄さん”と呼ばれる事に慣れていないおれは一瞬…固まってしまった。
「あ――――はい、そうです」
「こちらに座ってください……
弟さんは…頭を硬い鈍器なもので殴られた形跡がありましたので脳の検査をしました。
幸い、骨折や脳挫傷のような大きな外傷はありませんでした。ただ、激しい脳震盪を起こしたと思われます。
あと、強く目や口元を塞がれたことにより…布擦れが各所にありました。
頭の他に――――何度も殴られたのでしょう…顔が腫れています…歯で口の中を何ヵ所か切っていますが…骨折等はありませんでした。
それと同様にお腹や背中も殴られ蹴られたのでしょう…腫れて内蔵が炎症を起こしていました」
先生の話しでは抵抗したのか?縛られた手首が擦りきれ血を出していたそうだ。
そして、幸いなことに外傷は時がたてば治ると言われ、顔の腫れも引けば綺麗な顔に戻ると言っていた。
しかし、そのあと――――…先生は言葉を詰まらせた…