ひとつ屋根の下の愛情論
第5章 背中の温もりとか…
~律夏side~
「律夏さ~ん――――今日も真面目コースですか?」
「は?真面目コースってなんだよ…」
塾講師仲間の木戸(きど)が帰りの支度をする俺に話しかける。
「最近…飲みに誘わないなぁ~って…思って」
秋音が退院し1ヶ月自宅療養となり、なるべく側にいてやろうと、仕事が終わったら寄り道せずに帰っていた――――…
「そ~いやぁ…最近、飲んでねぇ~なぁ…酒買って帰るか…」
「は?宅飲み?つ~か…怪しいっす!あ!女、女ができましたね!」
木戸は講師室全体に聞こえる声で騒ぐ!
「うるせぇよ…木戸、違うし!弟だよ!」
「は?弟?――――律夏さんって弟いたんですね!若いんすか?」
「高3――――…とりあえずボランティアで勉強見てた」
「うゎ!人気講師の個別指導――――…超贅沢じゃん!」
休んでいる間の課題を出されているが、授業の遅れは…この時期のアイツには致命的だ。
少しでもカバーできればと思っ教えているが…
「飲み込み早くてな――――…超教えがいのあるヤツなんだよ…最近、口悪いけど!」
「弟なんて――――そんなもんっすよ!俺も妹いますけど…マジでムカつく時あるから!」
木戸は渋い顔を一瞬見せたが、次の瞬間には笑っていた。
まぁ…兄弟ってそんなもんだ…