ひとつ屋根の下の愛情論
第5章 背中の温もりとか…
自分にも――――…兄がいたことを思い出す。
もう、何年も会っていないが…彼の事だ、元気にやっているに違いない。
自分が昔は“ムカつく”弟だったのだと思うと……
兄の立場とやらは…意外に大変だったのだと…理解できる。
「理解力の高い弟だ…感謝しないとな」
昔の俺に比べたら――――秋音は、良くできたガキだ…
あんなことがあったのに――――…
“逃げたくない”と、必死に悪夢と日々戦っている…
最近は、台所には立てるようになったが――――…
やっぱり居間には抵抗があるらしく…日々を一番離れた客間で過ごしている。
夜は――――客間で勉強しながら…人の布団で寝ている。
寝ると言っても…すぐに目が覚めるらしく…食欲不振と不眠症はいまだに続いているみたいだ。