ひとつ屋根の下の愛情論
第5章 背中の温もりとか…
――――ガタガタ!ドシャ!
「!?――――秋音?」
凄い音がして廊下に出るも、そこには誰もおらず…俺は恐る恐る、脱衣場の扉を開けた。
すると、全裸で倒れている秋音を発見した!
「!おい、おい――――秋音!秋音?大丈夫か!」
「――――やっ…だ……触る…な…」
のぼせて立ちくらみでもしたのか…体は火照り、全身に力が入らないみたいだった。
しかも、全裸で倒れている状態で男に見られている事が…あの日を思い出させるのか――――恐怖で震えだす。
どんどん秋音を混乱させていくようだった。
「大丈夫だ!見ないように、なるべく触れないようにする――――バスタオルで全身を包んで…客間に行くぞ!」
俺は足元にあった秋音のバスタオルで体を隠し、抱きかかえて客間に向かった。
男をお姫様抱っこするのは初めてだったが、軽くてビックリした!
そりゃぁ、拒食気味で…不眠症となれば…体重も筋肉も落ちているのは分かっていた。
しかし――――…ここまでとは…
しかも、まだ腹や背中にはあの時のケガのアザがうっすらと残っている。
もしかして――――毎回…風呂に入るのも辛かったのでは?
鏡に映る…自分に姿を――――コイツはどう思っていたんだ?