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歪ーいびつー

第16章 ー最終章ー



「夢ちゃん。来週の始業式には一緒に学校行こう? 」
「……」
「俺がずっと側で支えるからね……」

何も答えない私をそっと抱きしめると、「また明日来るね」と言って帰ってゆく楓くん。

優雨ちゃんが屋上から飛び降りた日から、私はずっと学校を休んでそのまま夏休みへと入った。朱莉ちゃんも、私と同じ状況だと楓くんから聞いた。
ーー結局、奏多くんも優雨ちゃんも助からなかった。
事件はニュースになり、私達は事情聴取を何度か受けた。
その時も、ずっと楓くんは側で支えてくれた。
今だって毎日会いに来てくれている。それでも現実はとても辛く、私は中々立ち直れないでいた。
本当に……色々な事がありすぎたから。

優雨ちゃんと奏多くんの事件は、恋愛の絡《もつ》れから同級生を刺し殺した女子高生が飛び降り自殺をした、と世間に発表された。私達は誰も、涼くんと優雨ちゃんの事を言わなかったーー。

どうしてこんな事になってしまったのかと毎日考えては、答えが出ないまま一日が終わってゆく。
私は貝殻のブレスレットを握りしめると、涙を流しながらそっと目を閉じた。





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