テキストサイズ

歪ーいびつー

第17章 朱莉 2

ーーーーーー


ーーーーー


ーーーー





キャンプファイヤーが終わると、私は奏多を探して会場の周りをウロウロとしていた。
さっきからずっと探しているのに見つからない。諦めてテントへ帰ろうとしたその時、遠くの方にいる奏多の後ろ姿を見つけた。

「奏多ぁー! 」

私の大声に気付かない奏多は、キョロキョロと誰かを探すような素振りをしている。
きっと夢を探しているのだろう。私はチクリと痛む胸に気付かないフリをし、奏多の後ろ姿を追い掛けた。

「どこに行ったんだろ……」

奏多を追い掛けている内に見失ってしまった私は、ポツリと小さく呟いた。
そのまま川辺を歩いていると、遠くに人影らしきものを見つけ、私は奏多かと思って川の方へと近付いてみた。

「……楓? 」

そこにいたのは、一人川を見つめて立っている楓だった。私の声に気付いた楓は、ゆっくりと振り返ると私を見た。

「……朱莉ちゃん。どうしたの? 」

私を視界に捉えた楓は、そう言ってニッコリと微笑む。

「奏多追い掛けてたら見失っちゃって……」
「あぁ……きっと屋外キッチンにいるんじゃないかな? 」
「……楓はこんなところで何してたの? 」
「明日には川に入れるかな? って見に来たんだけど。まだダメみたいだね」

そう言って小首を傾げて微笑んだ楓。
ふと視線を下の方へ移すと、楓の手には大きな石が握られていた。そこには赤いものが付いている。

「それって……血……? 」

私は楓の握っている石を指差すと、恐る恐る尋ねてみた。

「うん……悪い虫がいたから」

そう言っていつものように可愛らしく微笑む楓。

「えっ! やだ! それってムカデとか?! 」
「うん、だからもう行こう。奏多もきっと待ってるよ」

楓は手に持った石を川へ投げ入れると、そう言って私と一緒に屋外キッチンへと向かって歩き出した。




ーーーーー


ーーーーーー


ーーーーーーー


ストーリーメニュー

TOPTOPへ