歪ーいびつー
第17章 朱莉 2
あの時、楓はあそこで一体何をしていたの……? 一度抱いた疑念はどんどん大きくなってゆく。
廊下で女とイチャつく楓が付けていたネックレス。それには、ピンクの貝殻が付いていた。
俯く楓をジッと見つめていると、楓の口元がゆっくりと動いて弧を描いた。
……笑って……る……?
私は、自分の身体から一気に血の気が引いてゆく気がした。カタカタと震え始めた身体。楓から視線を離す事ができない。
口を元の形へと戻した楓は、片手で顔を覆ったままゆっくりと空を見上げた。
私の瞳は、楓に合わせてゆっくりとその動きを追った。
ーー次の瞬間、手の隙間からギョロリと目だけ動かした楓が私を捉えた。
「……ひっ! 」
恐怖に小さく溢れた声。
そんな私を無表情で見つめていた楓は、口元を歪ませるとニタァーっと笑った。
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