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歪ーいびつー

第2章 小5ー夏ー



けれど、屋外キッチンには奏多くんだけしか居らず、朱莉ちゃんの姿はなかった。
暫くすると楓くんが朱莉ちゃんを連れて来たので朱莉ちゃんとは会う事が出来たものの、いくら待ってみても涼くんは来なかった。

「きっと花火をしている内に来るよ」

そう言った奏多くんの声で、私達は花火をしながら待つ事にしたけれど……結局最後まで涼くんが現れる事はなかったーー。

その後、点呼があるので仕方なくテントに帰ってきた私は、『きっと疲れてテントで寝てるのかもね』と言っていた楓くんの言葉を思い出していた。

点呼も無事に終わり皆が寝る準備を始める中、一足先に支度の終わった私は、テント入り口の小窓から外の様子を覗いてみた。
そこには、もう寝ているのか所々明りの消えたテントが見える。
涼くんの事が気になっていた私は、そのまま涼くん達のテントへと視線を移してみる。すると、そこにはまだ明りが灯っていた。
涼くんどうして来なかったのかなぁ……。
そう思いながら見つめていると、背後から声を掛けられる。

「夢。もう寝ないと、明日起きれなくなるよ? 」
「うん……」

優雨ちゃんに言われ、覗いていた小窓を閉じると寝袋に入った私は瞼を閉じて寝る準備をする。
いつまで経っても少し騒がしい外に、私は少し不安を感じながらも、明日になったらまた涼くんに会える。そう思いながら徐々に意識を手放していったーー。


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その翌日、私が涼くんに会う事はなかった。
昨夜から行方がわからなくなっていた涼くんは、先生達が夜通し必死に捜索したにも関わらずに見つける事ができず……翌日になっても戻ってくる事はなかった。



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