歪ーいびつー
第2章 小5ー夏ー
だけど、テントへ戻っては来たもののそこには優雨ちゃんも朱莉ちゃんもいない。
……あれ? やっぱりまだ会場にいたのかな……?
そうは思っても、入れ違いになるのが嫌だった私はテントで待つ事にした。
暫くテントの中で大人しく待っていると、優雨ちゃんが一人で戻ってきた。
「あれ? 夢一人? 」
「うん……寂しかったよぉ。優雨ちゃんどこに行ってたの? 」
「……ごめんね。トイレに行ってたの」
私の目の前まで近づいてから屈んだ優雨ちゃんは、申し訳なさそうな笑顔で小首を傾げると、「夢、本当にごめんね……」と言って私の頭を優しく撫でた。
朱莉ちゃんも何処にいるのか分からないと報告していると、突然テント入り口がパサリと捲られる。
「夢ちゃーん。いるー? 」
そう言いながら現れた楓くんは、私達を視界に捉えると、「あ、いたいた。俺は花火取ってくるから先に屋外キッチンに行ってて? バレないように気を付けてね」とだけ笑顔で伝えるとすぐに姿を消した。
もしかしたら屋外キッチンに朱莉ちゃんがいるかもしれないと優雨ちゃんに言われたのもあり、私達は楓くんに言われた通りに屋外キッチンへと向かってみた。