歪ーいびつー
第7章 ー5月ー
「夢は今日も可愛いね」
そう言って優しく微笑む奏多くんは、私を引き寄せると髪を撫でながら頬にキスをする。
オリエンテーション合宿が終わってから、無事に奏多くんとも仲直りのできた私は、何事もなく平穏な日々を過ごしていた。
『もう奏多の事は大丈夫だから安心して』
そう言った優雨ちゃんに連れられて奏多くんのところに行くと、『怖がらせてごめんね』と謝ってくれた奏多くん。
それからは以前と同じ日常に戻った。
変わった事といえば、奏多くんのスキンシップが激しくなった事。
「……ありがとう、奏多くん」
以前奏多くんにされた事がトラウマとして残っている私は、怒らせないよう黙って奏多くんのスキンシップを受け入れている。
勿論、キッカケとなった隼人くんとは一切関わらないようにしているし、隼人くんから話しかけてくる事もなかった。
スキンシップの激しくなった奏多くんを見て、周りの生徒達は私達が付き合い出したと噂するようになり、奏多くんもそれを否定する事はなかった。
「夢ちゃん、おはよー」
上履きに履き替えていた私の肩をポンッと叩くと、笑顔の由紀ちゃんが声を掛けてきた。
「おはよう、由紀ちゃん」