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歪ーいびつー

第6章 優雨



「いやぁー。こんな美人さんに呼び出しされるとは嬉しいね~」

目の前に立つ男は、金髪に染まった髪を風に靡《なび》かせてニコニコと微笑んだ。
私は、隼人という男を学校の屋上へと呼び出したのだ。
昨日、奏多に言われた事を実行する為に。

「あなたにお願いがあるの。夢には……もう近付かないで」
「……はっ? 」

突然そう切り出した私に驚く隼人という男。

「……なんで? 」
「奏多が怒るから」

怪訝そうな顔をして質問してくる男に、私は真っ直ぐ見据えてそう答える。

「はぁ……。そんなに奏多って奴が大事なーー
「違うっ! 私は夢の為に! 夢がっ……っ……奏多が怒ると……夢が怖い思いをするからっ……」

言葉を遮って声を荒げる私に、一瞬驚いた顔を見せた男は一度大きく溜息を吐いた。

「……夢ちゃんの為ね……わかったよ。けど、何かあったら俺は迷わずに助けに入るからね? 」
「……ありがとう」
「うん……だからさ、頼むから泣かないでよ」

そう男に言われて、初めて自分が涙を流していた事に気が付く。
私は頬に流れる涙をそっと拭うと、これで夢を守る事ができたのだと心から安堵した。




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