
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第13章 恋人はサンタクロース
「ひぃくん、ツリー 綺麗だったね! 」
「うん、綺麗だったねー」
先程撮ったばかりのツリーの写真を眺め、ニコニコと微笑んで歩く私。
「私ね、ひぃくんと一緒にツリー見たかったの。だからね、今日は一緒に見れて本当に嬉しかった! ありがとう、ひぃくん 」
「どういたしましてー。俺も花音と一緒に見れて凄く嬉しかったよー」
手を繋いだまま並んで歩く私達は、お互いの顔を見てクスクスと笑い合う。
今年は一緒にツリーを見に行けないと諦めていた私。
だから、今日こうして一緒に見れた事がとても嬉しかった。
私は左手に持った携帯に視線を戻すと、何枚か撮った写真をスライドさせてゆく。
「これ待ち受けにしようかなー。ねぇねぇ、ひぃくん。 これどうかな? 」
ツリーをバックに2人で並んで撮った写真を見せると、ひぃくんはフニャッと微笑んで口を開いた。
「うん、花音可愛いー」
「本当? じゃあ、ひぃくんもこれ待ち受けにしたら? 」
「うーん。でもこれお気に入りだからなー」
そう言ってコートのポケットから携帯を取り出したひぃくん。
その携帯画面を眺め、何やら嬉しそうに微笑んでいる。
「そっちよりこの写真の方が良くない? 」
「こっちの方が良いー」
手元の写真を見せて懸命にアピールするも、あえなく却下されてしまった私のお勧め写真。
「そんなにそれが良いの……?」
「うんっ。花音可愛いー」
私は自分の携帯へと視線を戻すと、今回もダメだったかとガックリと肩を落とした。
絶対にこっちの方が良いのに…。
何でアレが良いの?
待ち受けを変更して欲しくて、新しく写真が増える度に色々勧めている私。
だけど、どうやらひぃくんは待ち受けを変える気はないらしい。
手元の携帯を眺めて、嬉しそうな笑顔で「可愛いー可愛いー」と連呼しているひぃくん。
それのどこが……?
白目の私が待ち受けになっているひぃくんの携帯を横目に、私はひぃくんの嬉しそうな姿を見て顔をヒクつかせた。
