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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第13章 恋人はサンタクロース



帰宅途中でケーキを買った私達は、家の前まで着くと足を止めた。

「翔《かける》まだみたいだねー」
「本当だね、良かった」

真っ暗な家を眺めてホッと息を吐く。

お兄ちゃんが居たとしても、コッソリ家の中へ入ればバレないかもしれない。
だけど、居ないに越したことはない。

そのまま門に手を掛けて家へ入ろうとすると、繋いだままだった手をグイッと後ろへ引かれる。

「ひぃくん……? 」

振り返った私は、ひぃくんの謎の行動に首を傾げる。

「今日はこっちだよー」

ニッコリと微笑んだひぃくんは、私を連れてそのまま自分の家へ行くと玄関を開けた。

いつもひぃくんが我が家に入り浸っているせいか、私がひぃくんの家を訪ねるのは随分久しぶりな気がする。

最後に来たのはいつだろう?
何だか少し緊張するなぁ……。

「おじゃまします……」
「いらっしゃーい」

私の気持ちを知ってか知らずか、呑気な声を出してニコニコと微笑むひぃくん。

そのまま部屋へと案内された私は、ベッドの上に腰を掛けてキョロキョロと室内を見渡す。

「全然変わってないなぁ……」

そう小さく呟くと、昔と変わらないひぃくんの部屋に安堵して緊張が解《ほぐ》れてゆく。


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