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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第13章 恋人はサンタクロース



「お待たせー」

そう言いながら、開きっぱなしだった部屋の扉から戻って来たひぃくん。

ニコニコと微笑むひぃくんの手元を見ると、ジュースの入ったグラスと食器を持っている。

そのままテーブルの方へと向かうひぃくんを見て、その行動につられた私はテーブルの前へと座り直した。

「おばさんとおじさんは? 」
「デートしてるよ」
「相変わらず仲良しだね」

ひぃくんがケーキをお皿に乗せるのを眺めながら、私はおばさん達を想像してクスクスと笑う。

「俺達も今日デートしたから仲良しだねー」
「うん」

フニャッと微笑むひぃくんを見て、思わず私までフニャッと微笑んでしてしまう。

思えば、付き合ってから2人きりで外出したのは……
今日が初めてかもしれない。
いつも何故かお兄ちゃんが着いて来るから……。

今日はお兄ちゃんが居なくて本当にラッキーだ。
そう思うと、何だか笑顔が止まらない。

「じゃあ食べよっかー」

隣に座ったひぃくんが私を見てフワリと微笑むと、グラスを持ち上げて私の方へと近づけた。
それに倣《なら》ってグラスを持ち上げた私は、隣に座るひぃくんへ向けて近付ける。

ーーーカンッ

「「メリークリスマス」」

重なった声に、思わずクスクスと笑ってしまった私達。

何て幸せなクリスマスなんだろう。
さっきからニヤケ顔が止まらない。

好きな人と2人きりで過ごす初めてのクリスマス……。
そんな特別な夜に幸せを感じる。

その幸福感に一瞬酔いしれてしまった私は、目の前のケーキへと視線を移すと、美味しそうなケーキにフォークを突き刺したーー。


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