
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第13章 恋人はサンタクロース
「これって……サンタクロース? 」
袋から出てきたのは、この時期定番の真っ赤なサンタクロースの衣装だった。
「うん、花音はサンタさんだよー」
「え……? 」
嬉しそうにニコニコと微笑むひぃくんを見て、私は手元の衣装を改めて見てみる。
これを着ろって事……かな?
それがプレゼントになるの?
「これを着ればいいの?」
「うん」
私の問いに、嬉しそうにフニャッと笑って答えたひぃくん。
そんな事でいいの?
一体何が入っているのかと実は不安に思っていた私。
見たところ、よくある普通のサンタクロースの衣装のようだ。
ひぃくんからの提案には驚きはしたものの、意外にもまともな衣装でホッとする。
これがひぃくんへのプレゼントになるなら……。
特に断る理由はないかも。
期待に瞳を輝かせているひぃくんを見て、思わずクスリと笑いが漏れる。
「うん、わかった」
「本当?! やったー」
一瞬目を見開いて驚いた顔をみせた後、とても嬉しそうにニコニコと微笑むひぃくん。
「じゃあ廊下にいるから、着替え終わったら教えてねー? 」
今にもスキップでも始めるんじゃないかってくらいにウキウキとして歩き出したひぃくん。
私はその背中を黙って見送ると、ひぃくんが出て行った扉を眺めてクスクスと笑い声を漏らした。
まるで小さな子供みたい。
そんなに着て欲しかったんだ……。
そんな事を思いながら、私は自分の着ている服を脱ぐと着替えを始めた。
