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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第13章 恋人はサンタクロース



着替えを終えた私は、自分の左手へと視線を移すと先程貰ったばかりの指輪を眺めた。

その指輪はとてもシンプルな作りで、控えめなハートの形をした飾りの中央には、一粒の小さな石がはめ込んである。

とてもシンプルだけど、安物には見えない。

そういえば、まだちゃんとお礼を言っていなかったかも……。
ちゃんとお礼言わなくちゃ。

指輪から視線を上げた私は、目の前のノブに手を掛けると廊下へと続く扉を開けた。

「ひぃくん……」

扉のすぐ目の前で待っていたひぃくんは、私の姿を捉えた途端にキラキラと瞳を輝かせる。

「花音可愛いー」

そう言ってフニャッと微笑むひぃくん。

私はフフッと照れた様な微笑みを見せると、そのままひぃくんへ向けて口を開いた。

「ひぃくん、指輪ありがとう。絶対に大切にするからね」

ーーー?!

突然抱きついてきたひぃくんに驚きつつも、その背中にそっと自分の腕を回す。

「あーもー可愛すぎるー! 今すぐ結婚したいよー! 」

うーん……それはちょっと困るかなぁ。

そんな事を思いながら、フフッと小さく笑い声を漏らす。

ふっと抱きしめている力を緩めたひぃくんは、身体を少し離すと私を優しく見つめながら小さく微笑んだ。

そして、そのままチュッと軽く私にキスをするとすぐに離れたひぃくん。

「可愛いー。トマトみたいだねー」

クスッと笑ったひぃくんは、そう言いながら私の頬をツンっと突いた。

何回しても未だに慣れない私は、真っ赤になっているのであろう顔を隠すように少し俯く。

言わないでよ……ひぃくんのバカ。
余計に恥ずかしいじゃないっ。

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