
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第13章 恋人はサンタクロース
そんな私を愛おしそうに見つめ、優しく頬を撫でたひぃくん。
「大丈夫だよー、花音。凄く可愛いから」
ひぃくんはそう言うと、私を見つめてフニャッと微笑んだ。
……この状況下で、私が気にするのはどう考えたって可愛さである訳がない。
それなのに、そんな訳のわからない事を言うひぃくん。
それでも、青ざめたままただジッと固まるだけの私は……
ゆっくりと近付いてくるひぃくんの姿をただ眺めていた。
やけにスローモーションに見えるその動きを、ただジッと目で追う事しかできない私。
どうしよう……どうしよう……。
無理だよ……私……まだ無理っ……。
間近に迫ったひぃくんの顔を前に、キュッと固く瞼を閉じたその時ーー。
ーーードンッ!!!
ーーー?!!
すぐ近くで響いた物凄いその音に、驚いた私は閉じていた瞼を勢いよく開いた。
……い、今のは一体何?
「あっ……」
私の上に跨っているひぃくんが小さくそう声を漏らす。
その視線は、つい先程までは私を見つめていたというのに、今はベッド横の窓へと向けられいた。
私の部屋へと侵入する時にひぃくんが使っている窓……。
何やら嫌な予感がした私は、ひぃくんの視線を追ってゆっくりと窓の方へと首を動かしてみる。
ーーー?!!!
「ひっ……!」
あまりの恐ろしさに、小さく声を漏らしてしまった私。
そこには、真っ青な顔をして怒り狂う鬼……
お兄ちゃんがいたーー。
