
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第14章 煩悩はつまり子煩悩?
結局、お兄ちゃんと彩奈だけを残して出店へと向かう事にした私達は、それぞれが目当ての出店へ向かって散り散りに歩き始めた。
勿論、私はひぃくんと一緒に。
適当に二人分買ってきてと言われてお兄ちゃんから渡された五千円をポケットへしまうと、目の前に立ち並ぶ出店を眺めてキョロキョロとする私。
何食べようかなー。
こんなにあると迷っちゃうよ。
そんな事を考えながらも、つい顔がニヤケてしまう。
「ーーねぇねぇ、花音ちゃん。花音ちゃんのお兄さんて凄いイケメンだよねー」
私に近付いて来た志帆ちゃんが、私の耳元で小さく囁く。
「お兄さんて彼女いるのかな? 」
「んーどうなんだろう……」
曖昧な返事を返しながら隣を見てみると、ほんのりと頬を赤く染めた志帆ちゃんが「カッコイイなぁー」なんて言いながらニヤニヤとしている。
クリスマスイブの夜に何処へ出掛けたお兄ちゃん。
……彼女でもいるのかなぁ?
私はチラリと後ろを振り返ると、少し離れた先で彩奈と二人で列に並んでいるお兄ちゃんを眺めた。
私にはダメって言ってたくせに……。
自分だけ堂々とクリスマスデートなんてしてたんなら許さないんだからっ。
自分だってコッソリとひぃくんとのデートを楽しんだくせに、そんな事も忘れてプンプンと怒った私は、彩奈と楽しそうに話しているお兄ちゃんを眺めて頬を膨らませた。
「花音どうしたのー? 」
私の顔を覗き込みながら、小首を傾げてクスクスと微笑むひぃくん。
「…… ううん、何でもない」
「ちゃんと前見てないと危ないよ? 」
「うん」
私はひぃくんへ向けてニッコリと微笑むと、目の前へ差し出された手をキュッと掴んだーー。
