
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第14章 煩悩はつまり子煩悩?
結局無難にたこ焼きを買ってきた私は、手袋を外すと割り箸を二つに割いた。
「いただきまーすっ」
ホカホカと湯気を出すたこ焼きを一つ掴んだ私は、ニコニコと上機嫌な顔をして自分の口へと近づける。
「あチュッ……! 」
唇に触れた瞬間、余りの熱さに変な声を出してたこ焼きを離した私は、そのままたこ焼きを器に戻すと自分の唇を抑えた。
一口で食べようとしなくて良かった……。
まだ少しヒリヒリとする唇を摩りながら、手元のたこ焼きをジッと見つめる。
んー恐るべし……たこ焼き。
一人そんな事を考えていると、隣にいるひぃくんが焦った様な声を出した。
「花音、大丈夫?! ちゃんとフーフーしなきゃダメだよー」
「うん……」
「今やってあげるからね」
そう言って自分の箸でたこ焼きを半分に割ったひぃくん。
その内の一つを掴むと、フーフーと息を吹きかけて冷ました後に私の目の前へと差し出した。
「えっ……」
「はい、あーん」
フニャッと微笑んで小首を傾げるひぃくん。
いやいやいや。
それは恥ずかしいよ、ひぃくん……。
だってほら、皆がこっち見てるよ?
笑顔を引きつらせながら周りを見ると、クラスの子達や斗真くん達と視線がぶつかる。
「ひぃくん、それはいいよ。自分で食べれるから」
「遠慮しなくていいんだよー? はい、あーん」
「遠慮じゃないから。恥ずかしいから辞めて、ひぃくん。皆が見てるよっ」
「え?……大丈夫だよー、誰も見てないから」
斗真くん達に視線を移すと、ニッコリと微笑んでそう言ったひぃくん。
その言葉に、私達を見ていた全員が焦った様に視線を外した。
