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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第14章 煩悩はつまり子煩悩?



なんなの、その力技……。

ひぃくんのその強引さに若干引きつつ、私の方へと視線を戻したひぃくんを見上げて口を開いた。

「一人で食べれるから大丈夫だよ、ひぃくん」
「ダメだよ、花音がやると火傷しちゃうから」
「本当に大丈夫だから」
「大丈夫じゃないよー」

そんな言い合いをひたすら繰り返す私達。

どうにかひぃくんを説得した私は、残念がるひぃくんを横目にしながらもホッとする。

……これでやっと食べれるよ。

手元のたこ焼きを見つめて小さく息を吐いた私は、先程ひぃくんが割ってくれたたこ焼きを一つ掴むと、今度こそ一口で自分の口の中へと入れた。
寒空の中食べるホカホカのたこ焼きは、お預けをくらった分とても美味しく感じる。

美味しい……幸せぇ。

たこ焼きの入った口をモグモグとさせながら、途端に笑顔になった私。

「ーー花音ちゃん、その指輪って響先輩に貰ったの? 」

その声に視線を上げると、すぐ目の前にいる志帆ちゃんが私の左手を見ていた。

「あ……うん、そうだよ」
「ひょっとして、クリスマスプレゼント? 」
「うん」
「いいなぁー! 羨ましいー! 」

そう言ってキャッキャと騒ぎ出す志帆ちゃん。
その姿が何だかとても可愛くて、私は思わずクスリと声を漏らした。

「花音ちゃんは何をあげたの?! 」
「えっ?! ……えっとー……」

キラキラと瞳を輝かせて私を見つめる志帆ちゃんに、目を泳がせた私は一人オロオロとする。

何もあげてません……。
プレゼントを用意するのを忘れた私は、未だに何もあげていないだなんて……どうにも言いづらい。

キラキラとした瞳を向けて私の言葉を待つ志帆ちゃんに、私は引きつった笑顔でアハハッと小さく声を漏らすと覚悟を決めた。


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