
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第15章 君とハッピーバレンタイン
協力するなんて言っておきながら、まさか自分が足を引っ張る事になるとは思ってもいなかった私。
お兄ちゃんに告白すると言っていた時の、照れながらも幸せそうに微笑んでいた彩奈。
そんな姿が脳裏に思い浮かぶ。
私は……そんな彩奈の足を引っ張ってしまうの?
そんなの……絶対に嫌っ。
そう思った私は、もの凄い勢いでお兄ちゃんの腕にしがみ付くと、お兄ちゃんの服をギュッと掴んで口を開いた。
「……そんなの嫌っ!絶対にダメっ! 」
突然の私の大声に驚きを隠せないお兄ちゃん。
「ヤダよっ!……お兄ちゃんっ! 彼女作ってよぉーっ! 」
ユサユサと身体を揺すりながら懇願する私に、お兄ちゃんはギョッとした顔をさせると口を開いた。
「突然何なんだよ……」
「やだやだやだーっ! 」
彩奈は私の親友なんだから……っ。
絶対に足なんて引っ張りたくないよっ。
……絶対に嫌っ。
「……なんで泣くんだよ……」
ついに泣き出してしまった私に困ったお兄ちゃんは、優しく私を抱き寄せるとポンポンと頭を撫でてくれる。
お願いだから……彩奈を傷付けないで。
……私の大切な友達なの。
お願い……お兄ちゃんっ……。
結局、無力な私は心の中でただそう祈る事しかできないのだ。
「一体どうしたんだよ……花音」
お兄ちゃんの腕の中で、ギュッと服を掴んだままグズグズと泣き続ける私。
そんな私に困惑するお兄ちゃんは、一度小さく溜息を吐くと、私が泣き止むまでずっと優しく頭を撫で続けていたーー。
