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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第15章 君とハッピーバレンタイン



その後、そのまま私の家へと帰宅してきた私達。
私は勉強机の上に置いてあった箱を掴むと、テーブル前へ移動してひぃくんの隣へ腰を下ろした。

私の横でニコニコと嬉しそうに微笑んでいるひぃくん。
そんなひぃくんをチラリと見た私は、チョコの入った箱を差し出して口を開いた。

「はい、ひぃーー

ーーー!?

言葉も言い終わらない内に、私の手元からもの凄い勢いで箱を奪い取ったひぃくん。
毎年の事ながら、その早さには毎回驚かされる。

「ありがとー花音っ! 」
「あっ……う、うん」

呆気に取られていた私は、そう答えるとヒクつく口元でヘラッと笑った。

「嬉しいなーっ! 凄く嬉しいなーっ! 」

チョコの入った箱を大事そうに胸に抱えると、ユラユラと揺れて嬉しそうに微笑むひぃくん。
私はそんなひぃくんを横目に、携帯を開くと画面を確認した。

彩奈からの連絡はまだない……か。
もうとっくにお兄ちゃんに会ったと思うんだけど……。
どうしたんだろう? 私から連絡してみようかな……。

彩奈からの連絡がない事を不安に思った私は、画面をスライドさせて彩奈の連絡先を開いた。

「ねぇ花音、開けてもいい?! 開けてもいいかなー?! 」

その声に反応して顔を上げると、大事そうにチョコを胸に抱えたひぃくんが瞳をキラキラとさせて私を見つめている。

「う、うん……どうぞ」

異常な喜びを見せるひぃくんに若干引きつつも、私はそう答えると手元の携帯を再び操作し始める。
ーーとその時、一階から玄関の開く音が微かに聞こえた。

……えっ!? お兄ちゃん帰ってきたの!?
じゃあ……彩奈はっ!? 彩奈はどうなったの!?

未だ連絡の来ない携帯と自室の扉を交互に見た私は、一人その場でオロオロと慌て出す。

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