
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第15章 君とハッピーバレンタイン
「ーー俺達、付き合う事になったから」
ーーー!!?
お兄ちゃんから放たれた言葉に、衝撃で言葉を失った私。
お兄ちゃんの横に座っている彩奈に視線を移すと、恥ずかしそうにして頬を赤らめている。
「……っ彩奈!! おめでとーっ!! 」
身を乗り出して彩奈の肩を掴んだ私は、あまりの嬉しさに大きな声を上げた。
そんな私に驚きつつも、ほんのりと赤らめた顔で小さく微笑む彩奈。
「……ありがとう、花音」
良かったね……彩奈っ。
何だか嬉しくて泣きそうだよ……。
目の前で嬉しそうに微笑む彩奈を見て、何だか目頭が熱くなってきた私。
「じゃ、そういう事だから」
それだけ言うと、彩奈を連れて部屋から出て行こうするお兄ちゃん。
「……えっ!? 待ってよお兄ちゃん! それだけ!? それだけなの!? 」
そんなお兄ちゃんの腕を掴むと、必死になって引き止める。
そういう事だからって何?!
私が聞きたいのは詳細よっ!
「何がどうなって付き合う事になったの?! 教えてよー! 」
「何で花音にそんな事教えなきゃいけないんだよ」
「聞きたいっ! 聞きたいんだもんっ! 」
だってお兄ちゃん、彼女は作る気ないって言ってたじゃない!
勿論、彩奈と上手くいった事は嬉しい。
……凄く嬉しいよ。
だけど、何で? 何で付き合う事になったの?!
グイグイと腕を引っ張る私の頭をガシッと掴んだお兄ちゃんは、そのままグッと後ろへ押し退ける。
まっ……負けないんだからっ!
その力によろけながらも、必死にお兄ちゃんに近付こうと宙をもがく私の手。
そんな私を見て溜息を吐いたお兄ちゃんは、その視線をひぃくんへと移すと口を開いた。
「おい、響。変な事はするなよ」
「はーい」
小首を傾げてフニャッと笑ったひぃくんは、そう答えるとお兄ちゃんへ向けてヒラヒラと手を振る。
一人暴れている私を見てクスッと笑い声を漏らした彩奈は、「後でね」と私に耳打ちをしてお兄ちゃんと二人で部屋から出て行った。
今聞きたかったのに……お兄ちゃんのケチ。
いいもんっ。後で彩奈から教えてもらうから。
ボサボサになってしまった前髪を整えながら、一人そんな事を思う私。
「俺も大好きーっ」
突然背後から聞こえてきたその声に、扉の前で突っ立ったままだった私は振り返るとひぃくんを見た。
……えっと……何の話し?
