
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第16章 何度でも、君に恋をする
「ーーおばさんっ、おじさんっ。お帰りぃー」
ヒラヒラと手を振りながら、ニコニコと嬉しそうに微笑むひぃくん。
……ん?
その手に持っているのは、まさか……。
何やら右手に一枚の紙を持っているひぃくん。
その姿に、嫌な予感がした私の顔は瞬時に青ざめた。
「ただいま、ひぃくん。花音と仲良くしてた? 」
「おぉ、響! ただいま。お前は相変わらずイケメンだなー。……まぁ、翔も俺に似てイケメンだけどなー」
そんな事を言いながら、呑気にニコニコと微笑むお母さん達。
そんな二人を見てニッコリと微笑んだひぃくんは、右手に持った紙を胸元でピラッと開いた。
「ーー花音をお嫁さんにください」
ーーー!?
フニャッと笑って小首を傾げたひぃくん。
その胸元には、ひぃくんの署名入りの婚姻届が……。
突然目の前に出された婚姻届に、驚いた顔をして固まってしまったお母さん達。
今にも目玉が落ちてしまいそうな程に目を見開いたお父さんは、目の前の婚姻届を穴が空くんじゃないかってぐらいに凝視している。
えっ……。
何してるの……?ひぃくん……。
全員が驚いた顔を見せる中、私は真っ青な顔をして固まった。
「……花音には高校卒業してからって言われたんだけどね、おばさん達にまだ言ってなかったからー」
呑気にニコニコと微笑むひぃくん。
そんな事今言う事じゃないでしょ……。
大体、付き合ってるのだってまだ報告してないのに。
……ひぃくんのバカ。
固まったまま婚姻届を凝視していたお父さんは、まるで今にもギギギギッと効果音が聞こえてきそうな動きで顔を上げると、驚きに見開いた瞳でひぃくんを見つめる。
そして、もの凄い勢いでひぃくんの肩をガシッと掴むと口を開いた。
