
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第16章 何度でも、君に恋をする
「ーーでかした響っ! やっとか……やっとだなー……良かったなー、響っ! 」
そう言って嬉しそうな顔をするお父さん。
……え?
「ひぃくん良かったわねぇ……私も嬉しい。一時期はどうなる事かと……花音たら少し鈍ちんさんだから」
ホロリと目尻を流れる涙を拭ったお母さんは、そう言うと嬉しそうに微笑んだ。
え……何?何なのこれ……。
ひぃくんの突然の結婚宣言に、どうやら喜んでいるらしいお母さん達。
目の前の光景についていけない私は、呆然とその場に立ち尽くした。
勿論、それはお兄ちゃん達も同じで、ポカンと口を開けて間抜けな顔をしている。
いや……百歩譲るよ? だってひぃくんだもん。
百歩譲って、いきなりの結婚宣言は許すよ。
でも……普通、「◯◯さんをお嫁に下さい! 」って正座で頭下げるものじゃないの?
よくドラマとかでやってるじゃない。
こんないきなりヘラヘラ笑いながら「お嫁さんにください」「良かったねー」なんて、可笑しいでしょ。
大体、何で私にじゃなくひぃくんに「良かったねー」なんて言うのよ。
「……花音っ! 」
ーーー!?
突然のお父さんのドアップに、驚いた私は一歩後ずさる。
「良かったなー。響と花音の子供ならきっともの凄く可愛いぞっ? お父さん楽しみだなー」
私の頭を優しく撫でながらそう言ったお父さん。
「……っこ、こどっ……!? 」
いきなりの子供発言に、驚いた私は目の前のお父さんを凝視する。
何言ってるの? ……お父さん。
「子供はまだ早いんじゃないかしら。だって花音まだ高校生よ? 」
「何言ってるんだよ。若い内に産んだ方が子供と一緒に遊べるだろ? 俺だって元気な内に孫と遊びたいし」
……何言ってるんだよ、はお父さんの方だよ。
高校生の娘に早く子供産めなんて言う親、私は聞いた事ない。
「……それもそうね」
え……。
納得しちゃったの? お母さん。
「よしっ! どんどん子作りに励めっ! 」
そう言って私の背中をバシバシ叩くお父さん。
その力に、思わずよろめいた私。
そんな私を優しく抱きとめたひぃくんは、私を見つめてニッコリと微笑んだ。
