
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第16章 何度でも、君に恋をする
えっ……?お兄ちゃん……今、なんて……?
「大丈夫だよーお兄ちゃん。花音の事はずっと大切にするから。だから安心してね? 」
答えになっているのかいないのか、そんな返事をしたひぃくんはフニャッと笑って小首を傾げた。
そんなひぃくんを見て一瞬眉をひそめたお兄ちゃん。
チラリと私を見て一瞬寂しそうな顔を見せると、その視線をひぃくんへと戻して口を開く。
「……お前のこと信じてるからな、響」
「うん」
その返事に静かに目を伏せたお兄ちゃんは、そのままクルリと背を向けると彩奈のいる方に向かって歩き出した。
え……? お兄ちゃん?
私、まだ無理だよ……子作り……。
すぐ目の前でお父さんに捕まり、「翔、飴いらないのかー? 」と絡まれているお兄ちゃんを見つめ、一人取り残された気分になる私。
……ねぇ、私の気持ちは……?
それって一番大事なとこじゃ……。
「良かったねー花音。これで安心だねっ」
私の隣で嬉しそうな声を上げるひぃくん。
そんなひぃくんを見上げて、私は盛大に顔を痙攣らせた。
不安……とっても不安だよ……。
……むしろ不安しかない。
もはや、ひぃくんの暴走を止めてくれる味方がいなくなってしまった私。
お兄ちゃん……どうして私を見捨てるの……? なんで?
……お願いっ……私を見捨てないで……。
ひぃくんを見上げて情けない顔をする私は、お兄ちゃんに向けて必死に心の中でそう願ったーー。
