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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第16章 何度でも、君に恋をする




ーー卒業式当日。

「だっ……大丈夫……? 」

ヨレヨレな姿でゼェゼェと肩で息をする二人に、若干引きつつも心配をする私。

「何とか撒《ま》いたよ……」

そう言ったお兄ちゃんは、ウンザリしたような顔を見せると呼吸が苦しいのかネクタイを緩めた。

その隣にいるひぃくんを見てみると、ニコニコと微笑んではいるものの、脇腹を抑えて苦しそうにしている。

「……疲れたー。翔、おんぶして」
「ふざけんな……っ。俺だって疲れてるんだよ」

未だにゼェゼェと息を上げながら戯《じゃ》れ合う二人を見て、私は薄く笑うと同情した。

先程行われた卒業式の後、女子生徒達に追いかけ回された二人は、三十分もの間ずっと校内を逃げ回っていたのだ。

モテすぎるっていうのも大変だよね……。

「ーーよしっ! じゃあ、写真撮るかっ! 」

右手に持ったデジカメを掲げて、二人に向けてニコッと爽やかに笑ったお父さん。

実は、逃げ回る二人を校門前で三十分間待っていた私達。

どうやら上手く撒《ま》けたようなので、これでやっと当初の目的だった写真が撮れる。
そう思うと、私は小さく安堵の息を漏らした。

お兄ちゃん達を待っている間、卒業生でもないのに何故かお父さんに写真を撮られ続けていた私と彩奈。

まるでカメラマンにでもなったかのようなお父さんに、次々とポーズの要求まで出された私達。

そんな私達を見て「可愛いーっ! 」とはしゃぐだけで、全く止めようとしなかった私のお母さんとひぃくんのお母さん。


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