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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第16章 何度でも、君に恋をする



そんなお陰で、走り回っていたお兄ちゃん達程ではないにしろ、こっちだって三十分間写真を撮られ続けていたからそれなりに疲れているのだ。

目的の写真を撮ってさっさと帰りたい。
それは彩奈もきっと同じ思いのはず。

何かごめんね、彩奈……お父さんのせいで……。

ゲッソリとした顔をしている彩奈をチラリと見た私は、心の中でそんな謝罪をする。

「ーーじゃあここで撮りましょう? ほら、皆こっちに来てー」

嬉しそうに微笑むお母さんは、そう言ってヒラヒラと手招きをする。

その言葉に促されるまま、校門の端へと寄った私達。
近くにいる人に撮影を頼んだお父さんは、私達の元へ戻って来るとお兄ちゃん達を見て口を開いた。

「……翔……響……卒業おめでとう」

そう言ってニコッと爽やかに笑ったお父さん。

その顔は普段と何ら変わらないのに、私には何故かお父さんがとても誇らしげに微笑んでいるように見えた。

お父さんのその言葉に続くように、口々に「卒業おめでとう」と改めて伝えると、「ありがとう」と笑顔で返すお兄ちゃんと、「卒業したくない」と泣き出すひぃくん。

「ほら……ひぃくん、写真撮るよ? 」
「花音と離れたくないよー……っ」

私に抱きついてシクシクと涙を流すひぃくんを見て、私はクスリと小さく笑い声を漏らした。

「……卒業しても毎日会えるでしょ? 」

そんな事を言いながらも、ひぃくんも自分と同じ気持ちでいてくれたのだと、何だかとても嬉しくなる。

「ーーじゃあ撮りますよー! 」

前方から聞こえてくる声に反応した私は、背後から抱きつくひぃくんの手にそっと手を添えると、カメラに向かって満面の笑みを向けたーー。



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