
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第16章 何度でも、君に恋をする
落ち着きを取り戻した私は、再びアルバムへと視線を戻すと懐かしい写真達を眺めた。
楽しそうに満面の笑顔ではしゃいでいたり、時には涙していたり。
そんな過去の自分の姿を眺め、懐かしい記憶に想いを馳《は》せる。
写真に写る私の隣にはいつだってひぃくんがいて、昔からずっと一緒に育ってきたんだな、と改めて思う。
「ーーあっ、これ……。もぅ……この頃はどうなる事かと心配だったわー」
「……あー、この頃ねぇ……。私も心配だったわよー凄く」
「本当よねぇ。 上手くいって良かったわー、本当に」
そう言って一枚の写真を前に溜息を吐いたお母さん達。
……? 何の事?
話題にされている写真を覗いてみると、ニコニコと微笑むひぃくんの隣で嫌そうな顔をしている私がいた。
これは確か……私が中学生だった頃の誕生日の写真だ。
この頃、思春期真っ只中だった私はひぃくんの事が嫌でたまらなかった。
別に本気で嫌いだった訳ではなかったけど……。
ひぃくんに恥ずかしい思いばかりさせられていた私は、こうしてよく怒ったり、時にはひぃくんを無視したりしていた。
……でも、ふとした時に気付かされる。
私が喜べば一緒に喜び、私が傷つけば悲しい顔をする。
そして……私がピンチの時には必ず助けてくれる、そんなひぃくんに。
だから、どんなに変なひぃくんでも絶対に嫌いになんてなれないのだ。
ーーだって、とても心の優しい人だって私は知っているから。
「……この頃の花音ちゃんは、本当に響の事が嫌いだったわよね」
「そうねぇ……。今二人が付き合ってるなんて信じられないわー」
そんな事を言いながら、懐かしそうに写真を眺めるお母さん達。
そんな姿を見てクスリと小さく笑った私は、二人に向かって口を開いた。
「……私、ひぃくんを嫌いになった事なんて一度もないよ」
そう宣言した私は、呆然と私を見つめるお母さん達に向けてニッコリと微笑む。
そんな私を見たお母さん達は、クスッと笑い声を漏らすと「そっか」と言って優しく微笑んだ。
