
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第3章 君はやっぱり変でした
「わぁ……!凄いね彩奈!」
隣にいる彩奈の腕を引っ張って、興奮気味にそう話す。
目の前に広がるのは巨大な温水プール。
奥にはウォータースライダーなんかもある。
そう、私は今スパに来ているのだ。
勿論お兄ちゃんとひぃくんには内緒で。
斗真くんに誘われた私は、彩奈を誘ってここへ来た。
「花音ちゃーん!彩奈ちゃーん!」
呼び声に振り返ると、着替えの終わった斗真くん達が遠くで手を振っている姿が見える。
私と彩奈はそれに手を振り返す。
斗真くん達の近くにいる女の子達が、チラチラと斗真くん達を見ては頬を赤く染めている。
やっぱりモテるんだなぁ……。
確かにイケメンだもんね、と感心する。
「ねぇねぇ!」
突然目の前にドアップの顔が現れ、驚いた私は後ろによろめく。
そんな私の腕をガシッと掴んだ目の前のお兄さんは、ニッコリと笑うと口を開いた。
「君達二人で来たの?可愛いね、お兄さん達と一緒に遊ばない?」
「すみません、私達彼氏と一緒に来てるので」
隣から聞こえた彩奈の言葉に驚いて、思わず彩奈を凝視する。
そんな私をシレッと横目にした彩奈。
あ……そっか、追い払う為に嘘付いたんだ。
「またまたぁー。さっきから君達ずっと二人でいるじゃん。嘘付いちゃダメだよー」
中々鋭いお兄さん。
どうしよう、彩奈……。
掴まれた腕と彩奈を交互に見る。
「嘘じゃありません。その子達、俺達の連れです」
私がオロオロと困っていると、斗真くんが現れて私を掴んでいるお兄さんの手に触れた。
斗真くんを見たお兄さんは「なんだ本当に男連れかー。ごめんねー」と言って去って行く。
「ごめんね、俺達が遅くなっちゃったから」
腰を屈めて私を覗き込む斗真くんは、とても申し訳なさそうな顔をして謝った。
「大丈夫だよ、ちょっとビックリしただけだから」
そう言ってニッコリ笑うと、斗真くんは安心したように微笑む。
