
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第3章 君はやっぱり変でした
そして浅はかだった私は、直ぐにひぃくんに見つかってしまうのだ。
流れるプールから出た私は、飲み物を買おうと斗真くんと一緒に歩いていた。
「花音ちゃん、あれって……榎本先輩だよね」
斗真くんが指差す方に見えたのは、女の人達に囲まれたイケメン。
そう、あれは間違いなくひぃくん。
「ち、違うと思うよ。行こう、斗真くん」
見つかっては困る。
そう思った私は、この場から離れようとクルリと背を向ける。
「えっ、でも……こっちに向かって来るよ?」
斗真くんの言葉にギョッとした私は、思わず目を見開いて振り返った。
周りにいる女の人達を振り払いながら、こちらに向かって歩いて来るひぃくん。
その顔は、何だか焦っているように見える。
……嫌な予感しかしない。
私は思わず後ずさる。
心配そうな顔をして、私とひぃくんを交互に見ている斗真くん。
お願い……こっちに来ないで、ひぃくん。
私の願いも虚しく、気付けば目の前に現れたひぃくん。
私の肩をガッチリと掴むと、焦った顔のまま口を開いた。
「花音っ!どうして裸なの?! ……ダメだよ、裸で人前に出たらっ!」
大きな声でそう言ったひぃくんに、周りがシーンと静まり返る。
……目眩がする。
ひぃくん……私水着着てるよ。
裸な訳ないじゃん……。
私に集まる好奇の視線。
斗真くんの濡れた髪からは、ポタリと水滴が垂れてまるで汗の様に額に流れた。
「花音の裸なら後で見てあげるから!……っだからお願い!人前ではダメだよ!」
焦った顔をして、大きな声でそう告げるひぃくん。
……それではまるで私が痴女のよう。
なんて最悪なんだ……。
目眩に足元がフラつく。
自分の着ていたパーカーを私に着せると、フラつく私を支えたひぃくん。
心配そうな顔をして「大丈夫?」と聞いてくる。
いや……あなたのせいなんだよ、ひぃくん。
どうしてくれるのこの状況……。
呆然とした顔で見つめると、私の視線に気付いたひぃくんが「可愛いー」と言って私を抱きしめる。
ダラリと力の抜けた腕を垂らしたまま、黙ってひぃくんの腕の中に抱きしめられる。
あぁ……
これなら顔は隠せるかも。
放心状態の頭で、私はボンヤリとそう思っていたーー。
