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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第20章 ★お兄ちゃんは心配なんです〜side翔〜



自分の行動を恥ずかしく思った俺は、少しばかり反省をすると小さく溜息を吐いた。

勘違いして妹の飴を横取りするって……
何やってるんだよ、俺。
大体、響に振り回されてる事自体が解《げ》せない。
何でこんなアホに俺が……。

そんな事を一人グルグルと考える。

「はい、花音。俺が作ったマグネットだよー。花音にあげるね」

ーー!!!

「……えっ!!? 」

響の声に反応した俺は、ハッと我に返ると大きな声を上げて響を見た。
小首を傾げ、ヘラヘラと幸せそうに微笑む響。

その視線の先にいる花音を見てみると、怯えた顔のまま固まってしまっている。
花音の手元にはあの不気味なマグネットが……。

あーーっっ!!?
響のヤツ、いつの間に……っ!
あんなモノ花音に渡すなよバカっ!!

今にも泣き出してしまいそうな花音に、焦った俺は花音に向かって手を伸ばす。
ーーとその時、プルプルと小さく震える花音が口を開いた。

「これ……なぁに……? 」

か細い声を出し、怯えた顔で響を見つめる花音。

「王子様だよー」

……これ……が……?
っ……酷すぎる……これじゃ、どう見たって不気味なバケモノだ。

花音に向けて伸ばしかけた手をそのままに、俺は響を見てドン引いた。

「……えっ。おーじ……さま? 」

小さな声でそう呟いた花音は、震える自分の掌に乗ったマグネットを見つめる。

そんなモノ見るな、花音。
今俺がっ……!

パシッと花音の手首を掴んだ瞬間、花音が勢いよく顔を上げた。

ーー!?

「……ほんとっ?! 」

キラキラとした満面の笑顔で、響を見上げてそう言った花音。

えっ……?

「うん、本当だよー。王子様だよー」
「わぁーっ! ありがとう、ひぃくんっ! 」

えっ……いやいやいや。
待て待て、花音。
それのどこが王子に見える……?

未だ掴んだままの花音の手元を見て、花音の反応に困惑する俺。

いや……でも……。
花音が怖がってないなら、いいの……か……?

不気味なマグネットを見つめ、俺は思わず眉をひそめる。

思わぬ展開には驚いたが、結果的に花音は喜んでるみたいだし、これで良かったじゃないか。

そうは思うものの、目の前の不気味なマグネットにはどうも納得がいかない。

……どう見たってホラーだ。
花音は本当にコレでいいのか?


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