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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第22章 ★お兄ちゃんの受難



ーーそれから数週間後。

花音の様子を黙って見守っていた俺は、相変わらず態度のおかしい花音に頭を悩まされていた。

回復するどころか日に日にその表情は暗くなり、色気より食い気のはずのあの花音が食欲までないのだ。

おかしい……。
絶対におかしい。
一体、響と何があったんだ……?

花音の横にチラリと視線を移してみると、相変わらず響は呑気にヘラヘラと笑っている。

わからない……。
響との事じゃないのか?

元々ズレている響を見ても一体何があったかなんて解るはずもなく、俺は小さく溜息を吐くと花音へと視線を移した。

「……花音。ほら、ちゃんと食べないと……体がもたないぞ? 」

用意された朝食を前に、一向に手を付けようとしない花音を見て酷く心配になる。

俺の言葉に何の反応も示さない花音は、ただジッと黙ったまま俯くばかりで、俺はどうしたものかと小さく溜息を吐いた。

「花音どうしたの? ちゃんと食べないとダメだよ? 」

そう言って覗き込む響に対しても、俯いたままで無反応な花音。

やっぱりおかしい。
どこか具合でも悪いのか?

「……どうしたんだよ、花音 。何かあるなら言いな、ちゃんと聞くから。……何があった? 具合でも悪いのか? 」

優しくそう問えば、花音は俯いたまま小さく首を横に振る。

いや……絶対に何かあるだろ。
何でそんなに頑なに言わないんだ……?

優しく問うても何も言おうとしない姿に、妙な不安を感じて目の前の花音をジッと見つめる。

すると、そんな俺の気持ちを察したのか、花音は今にも泣き出しそうな顔で小さく笑うと口を開いた。

「ほ、本当に何もないよ? 大丈夫だから、心配かけてごめんね。……いただきます」

何だよ……その顔。
……全然大丈夫じゃないだろ。

何も打ち明けようとしない花音を見て、俺の不安は益々膨らんでゆく。

……俺じゃそんなに頼りないのか?
なんで何も言わないんだよ。

両親が留守の間、花音を守ってやるのは俺の役目なのに。
肝心のお前から頼りにされてないなら……これじゃ全然ダメじゃないかよ。

目の前にいる小さな妹を見つめ、自分の不甲斐なさに落胆する。


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