
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第7章 君は私の彼氏でした!?
お兄ちゃんに肩を抱かれた彩奈は、何だか少し顔が赤い気がする。
どうしたんだろう……?
「君は……この子の彼氏さんかな?」
私達を見ていたお兄さんが、ひぃくんに向けてそう質問をする。
その声に反応したひぃくんは、後ろから私を抱きしめると口を開いた。
「そうだよ。だからイジメないで」
「ごめんごめん。イジメたつもりはなかったんだけどなー」
困った様に笑ったお兄さんは、そのまま私へと視線を移した。
「そのTシャツは彼氏さんのせいかな?随分と愛されてるね」
そう言ってニッコリと微笑むお兄さん。
愛!?
いやいや、まさかっ!
そもそも、彼氏だなんて嘘ですから!
この場を切り抜ける為の嘘ですよ!?
お兄さん!
せっかくの嘘を否定するわけにもいかず、私はただ黙って小さく笑った。
たぶん引きつっていたと思う……私の顔。
その後、すんなりと退散してくれたお兄さん達。
相変わらず顔の赤い彩奈に近付くと、私は顔を覗き込んで口を開いた。
「彩奈? ……どうかした?」
「えっ?!別に……どうもしてない」
珍しく動揺する彩奈を不思議に思いながらも、無事なようなので安心する。
「やっぱり二人だけで遊ぶの禁止」
お兄ちゃんは私達を見て小さく溜息を吐くと、そう言って私の浮き輪を引っ張った。
「わかった?」と言って私を鋭い目で見てくるお兄ちゃん。
そんなに怖い顔しなくても……。
私は嫌だなんて一言も言っていない。
まぁ、言おうとしてたけど。
お兄ちゃんに先手を打たれてしまった。
……やっぱり恐ろしい鬼だ。
「わかりました……お兄様」
私は隣にいるお兄ちゃんを見ると、引きつった笑顔でそう返事をしたーー。
