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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第8章 そんな君が大好きです



座れる場所を探して歩く間、ずっとりんご飴を見つめる私。

食べるととっても美味しいりんご飴。
その見た目は、キラキラと輝いてとても綺麗だった。

クルクルと回しながら眺めていると、隣を歩くひぃくんが口を開いた。

「花音、良かったねー」
「うんっ」

クルクルと回るりんご飴を見つめながら、私は笑顔でそう答える。

そんな私を見てクスリと笑ったひぃくんは、私の左手を握ると「転ばないでね」と言って握った手にキュッと力を込めた。

暫くそのまま歩いていると、すぐ目の前を歩いている彩奈が口を開いた。

「……あ、あそこ空いてるよ」

彩奈の指差す方へと視線を移すと、ちょうど四人分の椅子とテーブルが空いている。

私達はその席へ移動すると、買ってきた食べ物をテーブルに広げた。
どうやらイカの丸焼きも買っていたらしい。

目の前にあるりんご飴を見つめ、私ははたと気付く。

あれ……。
りんご飴ってどうやって半分にするの?

そう思って固まっていると、隣に座ったひぃくんが私の手からりんご飴を取り上げる。

「はい、あーん」

そう言って私にりんご飴を差し出すひぃくん。

わざわざ取り上げる必要はあったのだろうか……?
そう思いながらも、食べたくて仕方がなかった私は、差し出されたりんご飴にカプッと食いついた。

「美味ひぃー」

思わず顔が蕩《とろ》ける。

「良かったねー」

ニッコリ微笑むひぃくんはそう言うと、私の食べかけのりんご飴にカプッと食いついた。
そしてまた私の目の前に差し出されるりんご飴。

あ、あれ……?
これってどうなの。

「食べないの?」

不思議そうに私を見つめるひぃくん。

何だか意識しているのは私だけのようだ。

「た、食べるっ!」

そう言って勢いよくカブリつくと、クスクスと笑うひぃくん。

何だか悔しい……。
もう気にしないもん。

何故かひぃくんと交互に食べる羽目になったりんご飴。

私から言い出した事なので何も言えず、そのまま完食するまで私は黙って食べ続けたーー。


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