
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第8章 そんな君が大好きです
「花音、お前お菓子ばっかりだな……。ご飯も食べろよ」
私の目の前で呆れた顔をするお兄ちゃん。
綿菓子にあんず飴にかき氷と、さっきからご飯を食べていない私。
勿論、全てひぃくんと半分コ。
私の隣ではひぃくんがニコニコと微笑んでいる。
だって……食べたいんだもん。
しょうがないじゃん。
口を尖らせてお兄ちゃんを見る。
「花音、あーん」
お兄ちゃんの言葉を無視したひぃくんが、私に向けて笑顔でそう言う。
パッと笑顔になった私は、口を開けて食いついた。
ーーと思ったら、ヒョイッと突然目の前から消えるバナナ。
行方を追って辿ると、お兄ちゃんがひぃくんの腕を掴んでいる。
「それはやめろ……」
何だか少し顔を引きつらせているお兄ちゃん。
チョコバナナ食べたかったのに……。
食べちゃダメなの?
「ご飯も食べるから……お願い、ちょうだい」
「やめろ……そんな言い方するな」
引きつった顔で私を見るお兄ちゃん。
ご飯もちゃんと食べるのに……
お兄ちゃんの意地悪。
「欲しいよね?」
「うん、欲しい……」
ニコニコと微笑みながら私を見るひぃくん。
「お前……わざとか?」
「えー何の事?……あぁ!」
お兄ちゃんの言葉に、何か閃いた顔をするひぃくん。
一体何だって言うのよ。
「いいから、これは自分で食べろ」
そう言ってバナナを渡してくれるお兄ちゃん。
え?
食べていいの?
だったら初めからちょうだいよ……。
そう思いながら、目の前にあるバナナに食いつく。
美味しぃーっ!
不貞腐れていた顔が一気に笑顔になる。
「美味しー?」
横で私を見ていたひぃくんが、ニコニコと微笑みながらそう聞いてくる。
「うんっ!美味しい!」
「花音はエッチだねー」
そう言って私の頬をツンッと突《つつ》いたひぃくん。
……えっ?! 何で?!
「おい……響」
お兄ちゃんを見ると、鬼の形相でひぃくんを睨んでいる。
そして私の手からバナナを取り上げてしまった。
「もう食べるな。ご飯を食べろ」
そう言って広島焼きを差し出すお兄ちゃん。
私……エッチなの?
……そうなの?
何で……?
呆然とする私は、目の前に置かれた広島焼きをただジッと見つめていたーー。
