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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第8章 そんな君が大好きです



「ねぇ、ひぃくん……私……エッチなの?」

私の隣でニコニコしながら歩くひぃくんに、勇気を振り絞って訊ねてみる。

さっき言われた言葉が気になって仕方がなかった。

私はエッチなのだろうか?
だとしたら……
恥ずかしくて生きていけない。

そんな事さえ思っていたのだ。

ニコッと笑ったひぃくんは、私を見つめながら口を開いた。

「えー? 誰に言われたの? そんな事」

ーーー?!

……お前だよっ!
思い悩んだ数分間を返してくれ!

ニコニコと微笑むひぃくんを見て、ガックリと肩を落とす。

何なのよ……。
ひぃくんのバカ。

「何でもない……」

アホらしくなった私は、そう言うと前を向いた。

ひぃくんと一緒にいると本当に疲れる……。
何でこんなに振り回されなきゃいけないのよ。

小さく溜息を吐く私の横で、呑気にニコニコとしているひぃくん。

……本当呑気な人。

「ーー花音ちゃん?」

ーーー?!

突然呼ばれた声に視線を向けると、そこには斗真くんがいた。

「……斗真くん」

私の声にニコリと笑った斗真くんは、そのまま私達の方へと近付いてくる。

どうやら何人かで一緒に来ているらしく、その中にはスパへ一緒に行った男の子もいた。

名前……忘れちゃった。

「花音ちゃんも来てたんだね」

私の目の前へ来た斗真くんは、そう言うとニコリと微笑む。

「……誰? 学校の人?」

そう言ってジロリと斗真くんを見るお兄ちゃん。

一度会った事あるのに……
覚えていないらしい。

「あ、こんにちは。同じ学校の山崎斗真です」

お兄ちゃんの失礼な態度も気にせず、笑顔で挨拶をする斗真くん。

出来た人だ……。
お兄ちゃんと話している斗真くんを見て、私は一人感心する。

その後、一緒に行動する事になった私達。
どうやらお兄ちゃんも一緒なので、男の子がいてもいいみたい。

何だか突然大人数になり、一気にお祭り気分が増した私。

ひぃくんに取ってもらったピンクの水風船を眺めながら、今日は本当に来て良かったと心から思った。

パシパシと掌でヨーヨー遊びを始めた私は、ふと思い立って水風船を頬に当ててみる。
中に入った水が冷んやりとして、とても気持ちがいい。

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