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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第8章 そんな君が大好きです



さっきからやたらとご機嫌なひぃくん。

花火会場に着いた私達は、人混みの中で花火が始まるのを待っていた。

そんな中、ニコニコと幸せそうに笑っているひぃくん。
私なんて息をするのでやっとだ。

「なんか……響さんさっきから凄いご機嫌だね? 何かいい事でもあったの?」

幸せそうにニコニコとしているひぃくんを見て、彩奈は不思議そうな顔をする。

確かに……。
何でそんなに笑ってられるの?

ニッコリと笑ったひぃくんは、彩奈を見ると口を開いた。

「花音が後でおっぱい触らせてくれるって言ってたー!」

ーーー?!

ひぃくんの放った言葉に、その場にいた全員が固まった。
思わずふらりとよろけると、そのままひぃくんに抱きとめられる。

予想以上に大きかったその声に、近くの知らない人達まで私達を見ている。

クッションだよ……ひぃくん。
お願いだからクッションと言って……。

「……は?」

呆然とするお兄ちゃんが、小さな声を漏らすとひぃくんを見た。

「静かにしてたらご褒美に触らせてくれるって言ってたー!」

幸せそうにニコニコと微笑むひぃくんは「そうだよね?」と言って私を抱きしめる。

違う……。
何か違うよ……ひぃくん。

それじゃ私……
とんでもない変態みたいだよ……。

一気に身体から血の気が引き、一瞬で真っ青になる私。

私と同じくらい真っ青な顔をしたお兄ちゃんは、ゆっくりと瞳を動かすと私を捉えた。
その目は驚きに見開かれている。

お兄ちゃん……
そんな目で見ないで。

私そんな変態じゃないよ……。
……変態なんかじゃない。

密集する人混みの中で、最早酸欠状態だった私。

朦朧《もうろう》とする意識の中、真っ青な顔をしてひぃくんに抱きしめられている私は、ただ呆然と目の前のお兄ちゃんを見つめていたーー。

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