
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第8章 そんな君が大好きです
「花音、大丈夫?」
私の顔を覗き込み、心配そうに訊ねる彩奈。
酸欠で具合が悪くなったのと、恥ずかしくてあの場にいられなくなった私は、斗真くん達と別れると少し離れた場所へと移動した。
花火会場からは少し離れてしまうけど、ここでも充分に花火は見えるはず。
何より、人が少なくていい。
実は穴場スポットだったのかもしれない。
「うん、もう大丈夫。ありがとう」
「動ける?」
「うん」
ベンチに座っていた私は、立ち上がるとお兄ちゃん達の元へ向かう。
目の前に見えるのは、場所取りをしてくれているお兄ちゃん達。
何やら数人の男女と話している様だ。
「誰かなぁ?」
「……さぁ」
私の隣を歩いている彩奈は、お兄ちゃん達を見ながら首を傾げる。
そのままお兄ちゃん達に近付いた私は、お兄ちゃんの背後でピタリと立ち止まると口を開いた。
「……お兄ちゃん」
私の声に振り返ったお兄ちゃんは、私を視界に捉えると優しく微笑む。
「具合良くなった?」
「うん、もう大丈夫」
お兄ちゃんの背後にチラリと視線を移すと、それに気付いたお兄ちゃんが口を開いた。
「学校の奴ら。今偶然会ったんだよ」
チラリと背後を見たお兄ちゃんは、そう言うと私と彩奈を皆に紹介してくれた。
「あー知ってる知ってる。噂の妹ちゃん」
「誰と付き合っても妹優先するからフラれるって噂の?! ……あーこりゃ優先したくもなるわなぁ」
そう言って、ジロジロと私を見てくる先輩達。
というか……
お兄ちゃんに彼女がいたのなんて知らなかったよ。
