
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第11章 君ととんでもナイト
「凄ぉーい! できたよ、ひぃくん!」
「うん、凄いねー花音」
ノートを掲げて喜ぶ私を見て、ひぃくんはそう言うとニッコリと微笑んでくれる。
ひぃくんのお陰で次々と問題を解いていった私は、さっきまでの自分からは想像もできない程の出来に感激した。
「ありがとう、ひぃくんっ!」
「良かったねー。じゃあ次はこれねー」
ひぃくんは笑顔でそう言うと、ニコニコと微笑みながらテーブルに紙を置く。
……今の私なら何でも解ける気がする!
たったの数問で謎の自信が付いた私は、この勢いでどんどん解いてみせる、と最早暴走気味に張り切っていた。
「はい、花音」
ひぃくんに差し出されたペンを受けとると、私は満面の笑みで頷く。
「うんっ!」
そのまま勢いよくペンを走らせようとしたその時、目の前にある紙を見て固まってしまった私。
……え……これは……。
思わず笑顔が引きつる。
私の握っているペン先の、僅か数センチ先に置かれた一枚の紙。
それは、ひぃくんの署名入りの婚姻届けだった。
手元を見ると、いつの間にかシャーペンからボールペンへ変えられている。
なんて巧妙な手口……。
浮かれていて全然見ていなかった……。
「ひぃくん、何度も言うけど私まだ結婚はできないよ……」
引きつる顔でひぃくんを見ると、私の言葉にショックを受けたひぃくんが目を見開いている。
私の誕生日が来てからというもの、事あるごとに婚姻届を出してくるひぃくん。
私何度も断っているのに……。
「じゃあいつならいいの? 明日?」
「……明日でも無理だよ、ひぃくん」
どう説明すればわかってくれるのだろう……。
「私まだ高校生だし……ね?」
引きつる顔で懸命に笑顔を向ける。
