
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第11章 君ととんでもナイト
「花音は我儘だねー。でもそんな花音も可愛いよ」
「……」
……これは私の我儘なの?
ひぃくんの我儘ではなくて……?
「じゃあ、わかった。これは俺が代わりにサインしとくねー」
そう言って小首を傾げてフニャッと笑ったひぃくん。
「……えっ?! ちょ、ちょっと待って! ひぃくん、私はまだ結婚なんてしないよ?!」
焦ってひぃくんの腕を掴むと、私を見たひぃくんが口を開いた。
「じゃあキスして?」
あ、悪魔だ……。
目の前で天使の微笑みを見せるひぃくんが……悪魔に見える。
これはもう、立派な脅しでは……?
「キッ、キス……したら結婚の話しはもうしないでくれる……?」
「えー? なんの事?」
……やっぱり悪魔だ。
ニコニコと嬉しそうに微笑むひぃくんを見て、私は思いっきり顔を引きつらせる。
そんな私を見てクスリと笑ったひぃくんは、優しく微笑むと口を開いた。
「ちゃんと約束するよ?高校卒業するまではね」
そう言って私の手をキュッと握ると、優しく微笑んだひぃくんはそっと目を閉じる。
瞼を閉じていても充分すぎる程に綺麗なその顔に、思わず見惚れてしまった私はジッと見つめた。
……なんて綺麗なんだろう。
本当に彫刻みたい。
「花音、まだー?」
「……へっ?! な、何が?!」
目を閉じたままのひぃくんが突然口を開き、驚いた私は間抜けな声を出してしまう。
「キスだよー。 待ってるんだよ、早くちょうだい?」
目を閉じたまま優しく微笑むひぃくんに、何だかキュンッとしてしまった私。
恥ずかしいけど……
でも、それ以上に大好きだから。
私は静かにひぃくんへ近づくと、そっと優しく唇を重ねた。
