ー恋慕ーもしも死んだ愛する人が、生き返ったとしたら(短編)
第1章 ー恋慕ー
それからの俺の日常はガラリと変わった。
モノクロでつまらなかった日々がカラフルに色付き、俺は毎日美希と過ごせる事に喜び、感謝した。
もうこれ以上のものは何もいらない。
心からそう思えた。
家から出る事ができないと言った美希に、それでもいい、ただ側にいてくれるだけでいいと俺は言った。
俺は毎日キッチリ定時に仕事を終わらせると、美希の待つ家へと帰った。
一年前、俺達は結婚して初めて一緒に暮らす予定でいた。
その果たせなかった未来を今、俺は美希と一緒に叶えているのだ。
「ただいま、美希」
「おかえりなさい、京ちゃん」
笑顔で俺を迎えてくれる美希。
そう、この笑顔さえあれば俺は幸せなんだ。
俺は顔を綻《ほころ》ばせると笑顔の美希を抱きしめた。