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キャンディータフト(短編)

第1章 キャンディータフト



高校生になったら皆バラバラになってしまう。それがわかっていた私は、その事を寂しく思い、当時手紙に書いたのだろう……。
頬に流れる涙をそっと拭うと、私は顔を上げた。

手紙を読み終わって静まり返った空間。
めぐちゃんと瞳ちゃんは静かに涙を流し、大ちゃんと浩ちゃんの目には涙が溜まっていた。
しんみりとしてしまった空気に恥ずかしくなった私は、隣にいる大ちゃんを見ると小さく笑ってみせる。
それに気付いた大ちゃんは、私につられて小さく微笑んでくれた。

「こっちは何かな……? 」

再びピンクの封筒に手を入れためぐちゃんは、中からもう一つの封筒を取り出した。

「大樹……」

小さく呟くめぐちゃんの手元を見ると、そこには【大ちゃんへ】と私の字で書かれた封筒があった。
それを確認した私は、一気に顔が赤くなるのを感じて慌て出す。
確か……あの手紙には大ちゃんへの気持ちを綴った記憶が……。
そんな物をここで読まれては困る。口を開こうとした次の瞬間、私の隣から声が聞こえた。

「それは後で読むから、しまっておいて」

隣を振り返ると大ちゃんと目が合い、私を捉えたその瞳は優しく微笑んでくれる。
安堵した私はめぐちゃんへと視線を戻してみると、めぐちゃんは封筒を持ったままジッと固まっていた。
どうしたのだろう?

「めぐちゃん……? それは読まないで欲しいな」

様子を伺うように覗き込むと、何故か悲しそうな顔をしためぐちゃんが口を開いた。

「うん……わかった」

手に持った大ちゃん宛ての手紙を、丁寧にピンクの封筒にしまってくれる。
そんなめぐちゃんの姿を見つめながら、私は少しの違和感を感じた。
何故かはわからない。だけど、何か少しモヤがかかったような……不安な気持ち。

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